会議のたびに議事録の清書で30分が消える。録画を聞き返したのに肝心な数字を聞き逃していた。こうした悩みは AI議事録ツールで大幅に減らせます。ただし2026年5月時点で SaaS が乱立しており、料金・日本語精度・連携先・セキュリティを横並びで見ないと選び損ねます。
本記事は中立的な比較記事です(PR・タイアップではありません)。Notta、tl;dv、Otter、Plaud、Fireflies の5本を各社の公式情報をもとに「業務シーン別ベスト1」で整理しました。結論を先に伝えると、社内会議は Notta、顧客商談は Fireflies、英語チームは Otter、対面・出張は Plaud、Slack/Notion 中心は tl;dv が有力候補です。Zoom や Google Meet の純正機能で済むケースもあるため、買う前の判定フローも扱います。
AI議事録ツールが解決する3つの課題と、買う前に確認すべき1点
AI議事録ツールは「文字起こし」ではなく「議事録作成プロセス全体の時間圧縮」を担います。会議1時間あたり清書に30分から1時間かかると言われますが、録音→文字起こし→要約→共有まで自動化し、清書時間を数分に圧縮できます。話者分離(Speaker Diarization)に対応するツールなら発言者を自動ラベリングします。本記事の5本はすべて対応していますが、日本語精度は対応言語数と公式仕様で差が出ます。
ただし最も見落とされがちな観点があります。Zoom と Google Meet にはそれぞれ AI Companion と「Take notes for me」という純正の議事録機能が実装済みです。対象プランなら追加料金なしで使えます。社内会議だけを記録したい人は、外部ツール契約前にこの2つを試すのが合理的です(判定フローは H2-6)。
AI議事録おすすめ5選の早見表(料金・対応言語・話者分離・連携先)

5ツールを横並びで比較します。料金は2026年5月時点の各社公式値で、年払い基準・税抜です(最新値は各公式で再確認を)。
| ツール | 無料プラン | 有料プラン下限(年払い) | 対応言語 | 話者分離 | 主な連携先 |
|---|---|---|---|---|---|
| Notta | 月120分・1録音5分まで | Pro $9.99/月 | 58言語(日本語含む) | あり | Zoom / Meet / Teams |
| tl;dv | 無制限会議・AIノート10件 | Pro $18/シート/月 | 30+言語 | あり | Zoom / Meet / Teams / Slack / Notion / HubSpot |
| Otter.ai | 月300分/ユーザー | Pro $8.33/ユーザー/月 | 英・西・仏(日本語未公表) | あり | Zoom / Meet / Teams |
| Plaud | デバイス購入時に月300分付与 | Pro(年契約) | 112言語(日本語含む) | あり | 専用ハードウェア(iOS/Android/Web) |
| Fireflies.ai | 文字起こし無制限・要約は制限あり | Pro $10/月 | 100+言語 | あり | Zoom / Meet / Teams + 10以上 |
出典: Notta Pricing / tl;dv Pricing / Otter.ai Pricing / Plaud AI Plan Pricing / Fireflies.ai Pricing。
Otter.ai は2026年5月時点で公式 Pricing に日本語の正式対応が明示されていません。日本語会議が前提なら、Notta・Plaud・Fireflies のいずれかから選ぶのが安全です。
ツール別ディープレビュー(強み&向いていないケース)
ここからは5本を1本ずつ深掘りし、強みと向いていないケースをセットで示します。
Notta(日本語精度と国内シェアのバランス重視)
Notta は日本市場向けに UI とサポートを最適化した SaaS で、対応58言語に日本語を含みます。Free は月120分・1録音5分まで、Pro は年払い $9.99/月で月1,800分・1録音90分まで利用できます。Business は年払い $16.67/シートで文字起こし無制限となり、個人から小規模チームまでカバーします。Zoom / Meet / Teams すべてに Bot 参加対応する点も強みです。向いていないのは Slack や HubSpot との深い CRM 連携で、その用途は tl;dv や Fireflies が一歩リードします。
tl;dv(Slack/Notion/HubSpot 連携の自由度)
tl;dv は「録画+AIノート+チーム共有」を1つのワークフローにまとめるタイプで、Slack や Notion との連携が滑らかです。Free は無制限会議録画と30+言語の文字起こし(AI ノート月10件)を提供します。Pro は年払い $18/シート/月で AI ノート無制限・Zapier 経由 CRM 同期、Business は年払い $59/シート/月で Salesforce / HubSpot ネイティブ連携が付きます。向いていないのは日本語中心で対応言語数を重視したいケースで、30+言語は Notta(58)や Plaud(112)より少なめです。
Otter.ai(英語ネイティブ重視のチーム向け)
Otter.ai は英語圏で広く使われ、AI Meeting Workflows や OtterPilot(自動会議参加)が成熟しています。Basic は月300分/ユーザー、Pro は年払い $8.33/ユーザー/月で月1,200分、Business は年払い $19.99/ユーザー/月で文字起こし無制限です。英語チームには費用対効果が高い構成です。ただし2026年5月時点の公式 Pricing では対応言語として英・西・仏が明示され、日本語の正式対応は公表されていません。
Plaud(対面会議・出張時の専用ハードウェア型)
Plaud は他4社と異なり、専用録音デバイス(Plaud Note または NotePin)を購入して使うハードウェア型です。本体は2026年5月時点で Plaud Note がセール $134.99(通常 $159.00)、NotePin が $126.99(通常 $159.00)。デバイス購入時に Starter プラン(月300分の GPT-4o ベース文字起こし・要約)が無料で付属します。Pro で月1,200分、Unlimited で1日最大24時間まで拡張できます。対応112言語、対応OS は iOS / Android / Web。対面・出張・移動中メモなど PC を開けないシーンが多い人に向く一方、オンライン中心なら本体購入コスト分だけ割高になります。
Fireflies.ai(CRM 連携・SOC2 で稟議突破)
Fireflies.ai は CRM 連携の幅とセキュリティ認証で他社をリードします。Free は文字起こし無制限(ストレージ800分/seat)、Pro は年払い $10/月、Business は $19/月、Enterprise は $39/月です。対応100+言語、対応プラットフォームは Zoom / Meet / Teams を含む10以上です。Fireflies.ai Security によれば、SOC 2 Type II 認証を保持し、保管時 AES 256-bit、転送時 TLS の暗号化、GDPR / HIPAA / FERPA に対応します。自前で文字起こしを実装したい方は Whisper API を Python で30分実装するガイド もどうぞ。
業務シーン別ベスト1の選び方マトリクス

「まず1本だけ試すならどれか」の基準で業務シーン別ベスト1に整理します。
- 社内会議(Zoom / Meet 中心): まず純正機能(H2-6)、満たせなければ Notta。対応58言語で日本語精度に定評があり、Zoom / Meet / Teams すべてに Bot 参加可能です。
- 顧客商談(CRM 連動・話者分離重視): Fireflies.ai。Business 年払い $19/月で CRM 連携・話者分離・SOC2 Type II が揃います。Slack / Notion 中心なら tl;dv も同等です。
- インタビュー取材・対面ミーティング: Plaud。専用デバイスがあるため、端末トラブルや画面共有に依存せず音声を確実に拾えます。対応112言語で海外取材にも転用可能です。
- 自分用メモ・1人会議: 無料枠が広い Notta Free(月120分)または Otter.ai Basic(月300分/英語前提)で十分です。
録音時に守るべき法的・倫理的注意点
AI議事録ツールでは、技術仕様より先に法令対応を確認しましょう。日本国内では個人情報保護法のガイドラインが直接かかわります。
録音前の参加者同意(個人情報保護法ガイドライン)
個人情報保護委員会の Q&A では、録音・録画を行う場合は参加者に利用目的・保存期間・第三者提供の有無を明示し、同意を取得する必要があると整理されています。自動 Bot 参加は便利ですが、相手の同意なく録音を開始すると信頼を損なうだけでなく、法令上の論点を抱え込みます。会議冒頭で「AI議事録ツールで録音します」と明示するルールをチームで定めるのが安全です。
個人情報データベース該当判断とセキュリティ認証の使い方
同 Q&A では、議事録の出席者氏名が検索可能な形で保存される場合「個人情報データベース等」に該当しうるとされています。保存期間・アクセス権限・退会時のデータ削除手順は、ツール選定時に必ずチェックしましょう。2026年4月7日には個人情報保護法改正法案が閣議決定済みで、ガイドラインは2027年夏頃公表予定です。本記事の5本のうち Fireflies.ai は SOC 2 Type II・GDPR・HIPAA(Enterprise)に対応しています。稟議書には公式 Security ページの URL・認証一覧・暗号化方式をセットで添付すると審査が短縮できます。
Zoom AI Companion / Google Meet「Take notes for me」で済むか判定フロー

外部ツールを契約する前に確認したいのが Zoom と Google Meet の純正機能です。条件が合えば追加コストなしで議事録の自動化に到達できます。
Zoom AI Companion で十分なケース
Zoom AI Companion 公式 によれば、Zoom Workplace Pro / Business / Business Plus / Enterprise の有料プランに追加料金なしで標準搭載され、Meeting Summary で会議終了後数分以内に要約とネクストステップが生成されます。文字起こしは30+言語、キャプションは46言語に対応しています。ただし2026年初頭時点で要約品質は英語が最も高いと言われており、非英語や多言語混在の会議では精度が低下するとの指摘が複数のレビューにあります。
Google Meet「Take notes for me」で十分なケース
Google Meet 公式サポート によれば、「Take notes for me」は英・仏・独・伊・日・韓・葡・西の8言語に対応し、自動メモ生成・Google Docs 共有・Calendar 統合に対応します。利用には対象となる Google Workspace サブスクリプション(Gemini for Workspace 対応プラン)が必要です。推奨会議時間は15分〜8時間、同一会議内での複言語同時対応は未サポートとなっています。
外部ツールを選ぶ判断基準
純正機能で足りなくなる代表的なシグナルは「CRM への自動連携が必要」「対面・出張先の音声を取りたい」「Slack / Notion を議事録ハブにしたい」「SOC2 / HIPAA 認証付きの保管先が必要」の4つです。いずれかに該当すれば本記事の5本からベスト1を選んでください。開発側のツール選定も並行したい方は AIコーディング支援ツールおすすめ5選比較(2026年版)、AI 活用度を底上げしたい方は 生成AI講座おすすめ5選(2026年版) もあわせてどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q1. AI議事録 無料 おすすめは結局どれですか?
オンライン会議中心なら Notta Free(月120分・1録音5分まで)か Otter.ai Basic(月300分/英語前提)が定番です。1回の会議が長い人は tl;dv Free(無制限会議・AIノート10件)、CRM 連携を試したいなら Fireflies.ai Free も候補です。
Q2. AI議事録の日本語精度はどれが高いですか?
対応言語数では Plaud(112)、次に Fireflies(100+)、Notta(58) が日本語を公式サポートしています。Otter.ai は2026年5月時点で公式 Pricing に日本語の正式対応が明示されていないため、日本語会議が前提なら避けるのが安全です。実際の精度はノイズ・話者数・専門用語の頻度で変動するため、本番投入前に無料プランで自社の会議を10分試すのが確実です。
Q3. Zoom 連携と Google Meet 連携、どちらを軸に選ぶべきですか?
両方を業務で使うなら、両方に Bot 参加できる Notta または Fireflies.ai が無難です。Zoom 単独なら Zoom AI Companion 標準、Google Workspace 単独なら Google Meet「Take notes for me」 で十分なケースがあります。
Q4. SOC2 認証だけあれば稟議は通りますか?
業界によります。SaaS の標準要件としては SOC 2 Type II が基準で、EU 系取引なら GDPR、医療系は HIPAA、教育系は FERPA、金融系は ISO 27001 を求められるケースがあります。
Q5. Plaud Note のような専用デバイスは買う価値がありますか?
対面・出張・移動中メモが業務時間の30%以上を占める人には買う価値があります。オンライン会議が9割なら Notta や Fireflies の SaaS で十分です。デバイス購入時に Starter プラン(月300分)が無料で付くため、デバイス代を初期投資として許容できるかが判断軸になります。
まとめ
AI議事録ツールの選び方は「自社の業務シーン → ベスト1」の順序で考えると迷いません。社内会議は Notta、顧客商談は Fireflies、英語チームは Otter、対面・出張は Plaud、Slack / Notion 中心は tl;dv が有力候補です。Zoom AI Companion や Google Meet「Take notes for me」の純正機能で済むケースもあります。今週の具体アクションは、まず1本だけ無料プランを契約し、社内会議を10分間だけ録音して精度を確認することです。録音前に参加者へ同意を取り、保存期間と削除手順をチームで合意してから本格導入に移ってください。
